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SAGA HIRAKAWAYA

2023.07.21

デザインについて

こんにちは。
佐嘉平川屋代表の平川です。
今年の4月に卸用商品(通販用商品以外)のデザインを全面的にリニューアルしました。
お陰様で非常に好評で、大成功であったと思っています。
商品のデザインについては、この会社に入った2000年以降何度も変更していきましたが、その辺りの考えについて書き留めておきたいと思います。

入社時のデザイン

2000年に入社した時、商品デザインに関してなんのポリシーもなく、包材屋さんが提示したデザイン数種類の中から選ぶという形だったと思います。ですので、商品ごとにイメージもバラバラで統一感もない形になっていました。当時お金がなかったこともありますが、商品のデザインに関してお金をかけるという発想もなかった(今でもそういうメーカーさんは少なからずいらっしゃるのではないかと思います)ので、当然といえば当然。その中でも主力商品であった温泉とうふ(温泉湯豆腐用の豆腐)は、バルーンに豚さんが乗っているという理解し難いパッケージになっていました笑(佐賀はバルーンの世界大会があっていたので、佐賀を連想して欲しかったのでしょう)。

当時どうしてもそのデザインが許せなかったので、お金がない中で包材屋さんにお願いして、こちらのイメージを伝えた上でデザインを作ってもらいました。 デザインを変えることは、お金がかかる上に既存のお客様が離れてしまうリスクも伴います。売れている商品であれば尚更。ただ、うまくいけば大きく売り上げを伸ばす可能性もあります。当時は大きく売り上げを伸ばす可能性に賭けたということですね。結果的には非常にうまく行って、数年間は売り上げがどんどん伸びていきました。 ただ、お金もなかったので、売れている商品だけに的を絞ってデザインを変更していきました。

デザイナーさんの活用

その後、2007年ぐらいからどんどん伸びていた通販の伸びが鈍化しはじめ、なんらか手を打つ必要に迫られます。その時にたまたま知り合いに紹介してもらったのがSという会社でした。初めて包材屋さん以外のデザイナーを活用することになります。ただ、当初デザイン会社と認識していましたが、今思えばどちらかというと企画を得意とする会社。Sという会社には、温泉湯豆腐を鍋として食べる提案をいただき、これによって温泉湯豆腐を湯豆腐という一品料理としてではなく、「温泉湯豆腐をして、残り汁で鍋をして、最後に雑炊で締める」という流れを作っていくことになります。この点は当社のその後の方向性を決める上では大きな役割を果たしました。ちなみにSという会社が得意としているのはフレンドリーなイメージのデザインであり、通販用商品から変更しましたが本来当社が目指している方向性とは若干乖離していたように思います。ただ、企画力のある会社だったので、2010年の嬉野店の立ち上げはSという会社にお願いし、嬉野店のベースを作ってもらいました。

その後、嬉野店がオープン当初苦戦したこともあって、卸の方で頑張るべく矢継ぎ早に卸用の新商品を作っていきます。当初はSという会社にデザインをお願いしていましたが、フレンドリーというよりもっと品のあるデザインにしたいということで、知り合いが以前使っていたというPという会社に豆乳もちのデザインをお願いしました。こちらの会社は企画というよりも商品のデザインが得意な会社で、大手メーカーの商品パッケージも手掛けていた会社です。豆乳もちのデザインの評判が良かったので、それからしばらくはこの会社に新商品のデザインをお願いすることになります。デザインも洗練されていたので、売り上げも伸びてそれなりの実績を出すことができました。

リブランディング

ただ、2015年ぐらいからドラッグストアの台頭などで卸が伸びなくなり、再び通販を頑張ろうと考えます。その時たまたま出会ったのが中川政七商店でした。中川政七商店は工芸品を販売している会社ですが、リブランディングのコンサルも行っています。幸い佐賀県の事業で中川政七商店のコンサルを受けられることになり、リブランディングを行うことにしました。そこで紹介していただいたKATATA YOSHIHITO DESIGNの堅田さんとタッグを組むこととなります。それまでは、単品のデザインや企画に終始していたので、全体としての統一感はなかったのですが、中川政七商店の場合は会社のビジョンから落とし込んで、全体のデザインの方向性を決めていくことになります。ですので、個別具体のデザインというよりも徹底的に会社の方向性を議論するところから始まりました。最初に通販用商品のデザインからリニューアルすることとしていましたが、そこに行き着くまでに確か2年ほど時間がかかりました。ビジョンを決め、会社のポジションを決め、中期経営計画を作り、ロゴを作り、ようやく通販用商品のデザインが確定しました。そこから嬉野店の暖簾などを変え、TOFU&CAFÉ hirakawaya.をオープンし、ホームページをリニューアルして、武雄温泉本店をオープンして、社名変更を行い、最後に卸用商品の全面リニューアルを行っていくことになります。これによって、ようやく全体の統一感が出てきたと思います。

卸用商品の全面リニューアルに踏み切った背景には、原材料などを記載した一括表示の制度の変更があります。遺伝子組み換えに関する表示制度が変更になったため、すべての包材を作り直さざるを得なかったんですよね。包材を全て作り直すのは当社の規模でも1千万円程度はかかります。なので、これまで全ての包材の変更にはなかなか踏み切れなかったのですが、今回制度の改正で否応なく包材をすべて作り直す必要が出てきて、それならばと思い切って社名変更とデザイン変更に踏み切りました。

お金はかかりましたが、これまで複数のイメージが異なるデザインが混在していた状態からすべて統一感のあるデザインに変わったおかげで、商品を見ると佐嘉平川屋の商品だということがすぐに分かっていただけるようになったかと思います。商品名よりも佐嘉平川屋というブランド名が目立つようになっているので尚更です(一般的な豆腐のデザインは、ブランドよりも絹とか木綿とか商品名が目立つようになっていることがほとんどなので)。

ブランドとデザインについて

これまでいくつもの商品のデザインを考えてきた中で思うのは、一つの商品だけどんなにいいデザインを作ってもブランドはできないということ。会社の目指すべき方向を明確化して、その方向性に全てのデザインとその会社の行動の整合性がとれて初めて、その会社のイメージが出来上がり、ブランドとして認識されるんだと思います。

かつてのうちもそうですが、一つ一つの商品について、何のポリシーもなくその時その時で最もいいデザイン(ここでいう「いいデザイン」とはその商品の売り上げが最大化するデザインのこと)を追及していては、個別の商品としては売れてもそれ以外の商品の売上には波及しにくく、ブランドができて会社の売り上げ全体が伸びていくみたいなことにはなりづらいんだと思います。言い方を変えれば部分最適ではあるけれど全体最適にはなりづらいということですね。もちろん会社の規模感にもよるし、小規模な場合は、一つの商品で一点突破していく必要もあるとは思いますが。

何にしてもほぼ全ての商品のリニューアルを終え、全体の整合性がとれた状態になったので、一旦はやりたいことができたかなと思っています。
これからは次のフェーズへと進んでいきたいと思っています。

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