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SAGA HIRAKAWAYA
SAGA HIRAKAWAYA
2024.03.24
こんにちは。 佐嘉平川屋代表の平川です。 この度、「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選定され、去る3月14日、経済産業省で行われた授賞式に出席しました。 「はばたく中小企業・小規模事業者300社」とは、経済社会構造の変化に対応して事業変革や新規事業に挑戦し、地域経済や日本経済の成長への貢献が期待できるモデルとなる中小企業を表彰する制度、とのこと。「事業再構築・生産性向上」、「海外展開」、「GX」、「DX」、「人への投資・環境整備」の5分野から選定されていますが、うちは「人への投資・環境整備」での受賞でした。 一昨年12月のキーマンの退職届から始まった人手不足で昨年の前半は本当に苦しんでいたので、こういう賞をいただけるとか正直申し訳ない気もするのですが、そこからの立て直しが非常にうまくいって、そこを評価していただいたものと受け止めています。 今回、その立て直しについて書きたいと思います。
1通の退職届
2022年12月初旬、朝会社に行くと机の上に退職届が置いてありました。
当時の品質管理室長で、実質製造のトップを兼任しており、最も頼りにしている人からのものでした。あの日の衝撃は忘れられません。
慰留するものの彼の意思は固く、彼なりの配慮で繁忙期の1月いっぱいで退職するとのことでした。 彼しかできないところも多かっただけに彼が抜ける穴は大きく、何よりも彼が抜けたことによって他のスタッフへの負担が増えて、連鎖的に退職者が増えお豆腐が作れない事態に陥ることを懸念しました。
彼が退職したいと思った理由はいくつかあると思いますが、彼に負担がかかりすぎていた部分が大きいと思います。武雄温泉本店をオープンし、通販も増え、近年調子の悪かった卸さえも増加する中で、製造量は増大し、にも関わらず、スタッフを採用しようにもなかなか応募がない状況でした。派遣で補っていましたが十分ではなく、そういう中で繁忙期に突入したので、気持ちが折れるのも無理はありません。
店舗がオープンできないのは、売上の一部がなくなるだけですので致命傷にはなりませんが、豆腐屋なのにお豆腐が製造できない事態になると会社は存続できません。
お歳暮の出荷作業に追われる中、猛烈な危機感を抱きながらやれることを次々にやっていくことになります。
打ち手
慰留が難しいと判断した時点で、次々とやれることをやっていきます。
まずは、採用のスペシャリストとの契約。たまたま知り合いで採用支援をやっていた方を知っていたので、その方にお願いすることにしました。正直彼女の力量は分かりませんでしたが、一緒に仕事をしてみると本当に優秀な方で、彼女と組んだことがものすごく大きかったことは間違いありません。
それから、現場の負担を軽くしなくてはいけないということで、手間のかかる商品を終売にすることとし、取引先に無理を言って最短で生産を終えることとしました。それなりの人気商品だっただけに終売にすると売上にも影響するのは分かっていましたが、背に腹は変えられないということで、早々に決断しました。
次に需要を抑制して製造数量を減らさなくてはということで値上げすることとしました。コストがどんどん上がる中で値上げはしていなかったこと、ちょうど春夏の見積もりを書くタイミングでしたし、パッケージデザインをリニューアルするタイミングでしたので、いいタイミングではあったと思います。値上げすることによって余力を生み出し、その余力でスタッフの待遇を改善するという腹づもりもありました。
また、取引先の見直しも進めました。取引先によっては手間のかかる作業を要求したり、そもそも手間のかかる仕組みになっているところもあります。そういう取引先を見直すことで、スタッフの負担軽減を図ろうとしました。
あとは、待遇改善です。給料の見直しを行い、昨年4月に平均で10%以上引き上げました。今年も給料アップの方向で調整しています。併せて、朝が早かったり、暑かったり寒かったりというような労働環境も設備投資しながら改善を進めました。
こういうことを次々にやってきた結果、昨年1月の社名変更や店舗による認知向上と相まって、これまででは考えられないぐらい応募があり、多くの方を採用することができました。今ではむしろやることがなくて困るくらいスタッフが増えています笑。加えて、生産性が劇的に向上したことで、仕事は楽になり、休みも給与も増えたにも関わらず、利益率は大幅に高まりました。全てがうまく回り出したように思います。
引き続き、設備投資とセットで生産性向上を図っていますし、少しでもスタッフの負担が減るように業務改善を次々にやっています。加えて、人事制度の整備も進めています。
これらの取り組みとそこで得られた結果により、今回の賞を受賞するに至ったんだと思っています。
最後に
これから先、人口の減少以上に生産労働人口、ようは働き盛りの人口が減っていくことになります。ですので、劇的な生産性の向上が図られない限り、人手不足はますます加速していくでしょう。このような環境では採用ができない会社は生き残っていけなくなるのは明白で、採用力が会社存続の鍵になっていくと思っています。そういう意味では、今回の件は、一番できていなかった採用に力を入れるきっかけとなり、いい転換期だったのかもしれません。
お客様に価値を提供していくのは当然ですが、スタッフにも選んでいただけるような会社にすべく全力を尽くしていきたいと思っています。